この記事は「水素水がパーキンソン病に及ぼす効果」の研究に関する論文についてご紹介していきます。

パーキンソン病は、脳内の神経細胞が変質・脱落することにより生じる疾患です。そのメカニズムの全容は未だ解明れていないのですが、活性酸素がその原因の一つとして考えられています。この研究は活性酸素の除去効果が期待される水素水の飲用がパーキンソン病の症状に影響を及ぼすかどうかを検証したものになります。
論文概要
学術雑誌名
Mov Disord. 2013 Jun;28(6):836-9. doi: 10.1002/mds.25375. Epub 2013 Feb 11.
表題
Pilot study of H₂ therapy in Parkinson’s disease: a randomized double-blind placebo-controlled trial.
著者
1Department of Neurology, Juntendo University School of Medicine, Tokyo, Japan.
研究内容
この臨床試験には年齢幅53歳~72歳のパーキンソン病を患う男女18人が参加しました。この18人を無作為に2つのグループ(9人:9人)に分け、一方には水素水(濃度1.6ppm)、もう一方には普通の水を48週間(約1年)飲み続けてもらいました。
結果

この試験結果の調査方法には「UPDRS(統一パーキンソン病評価尺度)」が採用されました。これは、様々な数十種類の日常生活におけるあらゆる行為・脳の感覚において正常から不正常・障害が認められるまでの尺度4~5つを設定し、試験前後における各項目の尺度の差を比較するという手法になります。
結論としては、約1年間水素水を飲み続けた9人のグループのうち、6人に有意な改善が見られるという結果が認められました。
さらに、水素水を飲んだグループと普通の水を飲んだグループ全体の試験結果の中央値を比較したところ、5.5点の差が見られたとのことです。(5.5点の差は、そこまで大きな差ではないとのことです)
若干の改善傾向が見て取れた
疾患に関する臨床試験にしては人数の規模が少なく、またグループ間での試験結果の値の差がわずかであることからも、試験結果としては「水素水を飲むことでパーキンソン病に対して若干の改善傾向が見て取れた」という表現に留めるのが妥当であると言えそうです。
冒頭でも申し上げたとおり、パーキンソン病はその原因が解明しきられてはおらず、活性酸素による神経細胞の破壊もいくつか想定される原因の一つとされております。よって、パーキンソン病を患う方のなかで、疾患の原因として活性酸素によるところの割合が高い方に関しては、水素水飲用による一定効果が期待できると考えることができるのではないでしょうか?